コーヒー豆をエイジングするとどうなるのか、簡単に説明すると抽出不足を防ぐことにつながり、香りや味に変化が生まれることでよりコーヒーを楽しむことができます。今回はその変化を経過観察してみましたので詳しく解説していくますね。
まずはエイジングをする理由から説明させてもらいます。
コーヒー豆をエイジングする理由
エイジングをする理由は大きくわけて2つありますので詳しく書いていきます。
1、抽出不足を防ぐこと・・・
コーヒー豆には炭酸ガスが含まれていて焙煎、つまり熱が加わることで化学変化により炭酸ガスが発生します。
その炭酸ガスがコーヒー豆の中に残っていればいるほど、抽出したときに外へ出ようとする炭酸ガスと浸透しようとするお湯とがぶつかり合ってしまいコーヒー豆の美味しさがお湯に溶け出さなくなってしまいます。これが抽出不足と呼ばれる現象ですね。
それを防ぐために焙煎したコーヒー豆を2~3日ほどエイジングすることでコーヒー豆の風味を逃がさずにその炭酸ガスを抜くことができます。
なので抽出不足を防ぎたい方は数日のエイジングを行えばある程度抽出不足は防げます。
2、味わいの変化・・・
エイジングは抽出不足を防ぐようなマイナスにならないようにするだけでなく、そのコーヒー豆が持つ本来の美味しさを引き立てるようなプラスにしていくことも可能なのです。
例えば、焙煎したばかりのコーヒー豆は香ばしさが強いイメージですが、そこから1週間、2週間と経過することで香ばしさが落ち着き、くだもののような酸味や甘みなどがでてきたりします。このように1種類のコーヒー豆だけで何度も違う味わいを感じれられるのもエイジングの魅力の1つとい言っても過言ではありません。
コーヒーをより楽しみたいという方は1度試してみるといいかもしれません。その際は経過観察を参考にしつつ、さらにコーヒー豆の保存方法に注意が必要になるのでこちらの記事雑味の原因3選内にある保存方法を参考にしてみてください。
コーヒー豆のエイジングを経過観察
まずエイジングで検索をすると「老化」とでてきますがコーヒーで使われるエイジングはどちらかというと経時変化、つまり時間が経つにつれて変化していくという意味になります。この変化を利用することで香りや味わいをコントロールすることができるというわけです。
ではコントロールすることでどう変化するのか、購入時から約1カ月間、変化を経過観察した記録を参考にしてみてください。
ちなみに生豆の時点でのエイジングと焙煎豆のエイジングとエイジングには2種類ありますが、生豆だと焙煎作業なども加わるので今回は手軽にできるように購入した焙煎豆で実験をしてみました。コーヒー豆の情報もわかる範囲で載せていますので参考にしてみてください。
・使用した焙煎度合い:中深煎り(だいたいシティローストのあたり)
・使用した銘柄:今回はあまり産地に影響されたくないのでブレンドしたものを使用
・保存温度:28~29℃(ちょっと豆の保存だと高めになります)
・保存湿度:60~70%前後(途中見忘れたのでざっくりです。すみません。)
・保存容器:ガス抜き穴のないもの、密封状態
(今回は中身が見えるように透明なものを使用、本来はアルミなどの日光が直接当たらないガス抜き付の袋)
購入時
香り・・・
焙煎したてを購入しているわけではないが、エイジングが進んだものと比べていくとコーヒー豆の香ばしさは感じられるものの熟
成された重みはなく、煮込み料理よりさっと作った炒めものという印象
味・・・
苦味が強め。
温度が高いときも低いときもまだ苦味が強く、わたしの感覚だと若干抽出不足というかコーヒー豆の本来の味が足りないなという印象。
3日後
香り・・・
香ばしさが少し落ち着いてきつつ、味が抜けるというよりもこれから美味しさが香り立つ前準備といった印象。まだ大きな変化はなし。
味・・・
まだ苦味の印象が強い若干角が取れつつ、まだ苦味が優位な立場にいる印象。 その他の大きな変化はなし。
1週間後(7日後)
香り・・・
香ばしさがなくなるというよりは落ち着いてきて、くだもののような爽やかさが出てきつつ、若干コクのような重みも感じられるようになってきた印象。
味・・・
苦味の中に酸味と甘みあり。あと若干コクかな?少し爽やかさがプラスされてきたのを味わいで感じる。
温度も高いときには苦味とコク、冷めてくるとくだものに近い酸味と少しの甘みをかじられるようになってきた印象。
ここから酸味がどんどん強くなっていくので苦手な方はここから細かい調整が必要かなと思う。例えば2日おきに香りを確認してみたり、飲んでみるのがいいかなと思う。
2週間後(14日後)
香り・・・
爽やかさはそのままにすこし重みのある甘い香りとコクもほのかにしてきた印象。くだものが育ってきた感覚に近いのかな?香りでもコーヒー豆のいろんな角度を楽しめるようになってきた気がします。
味・・・
複雑さがでてきた。温度が高いときに感じていた苦味が酸味からくる渋みの方が優位になり、コクが増した感覚。温度が低くなるときと渋みがほどよい酸味と甘みに変化することで爽やさが出てきて後味がすっきりとする印象。
酸味が苦手な方はここまでエイジングすると酸味が強くなっていくのでこの手前までの方がより楽しめるのかなと思います。
3週間後(21日後)
香り・・・
袋を開けたときの香りに重みが出てきて熟成されているなと感じる。甘みやコクが強く、ずっと嗅いでいたいほど香りを楽しむことができる印象。
味・・・
苦味と酸味などが逆転コーヒー本来の苦味は残りつつもくだものを彷彿とさせる甘み、酸味と渋みが少し優位になりつつ、かといって味が薄いとかパンチがないわけでなく、しっかりとコーヒーらしいコクや美味しさを備えた後味が少し爽やかなコーヒーという印象。
ただ、少しずつキュッとした渋みと酸味(少し雑味になってきたかな)も見え隠れするのでわたしの感覚だとエイジングはこのあたりが限界っかなと思います。
1カ月後(4週間後)
香り・・・
とても芳醇な香り。香りを楽しめるのは2週間すぎて1カ月たたない程度がベストかなという印象。少し雑味に近い酸味も感じるのでこれ以上は美味しくないコーヒーになる予感。
味・・・
苦味と渋み、後味に酸味。ここまでくると味に雑味が出てきている印象。ただそれは購入時と比べた場合なのでまだまだ美味しさはあります。温度が低くなるにつれて苦味から渋み、酸味へと変化している様子でした。
※お詫び
3日後の粉の画像を見失ったため初日の画像を入れています。ただ、見た目は初日と変わらずでした。
まとめ
最後まで読んでいただきありがとうございました。
結果は豆の状態で1週間から2週間がベストかなと。あとは好みで別れると思いますが、酸味がほしければ少し長めに、苦味を感じたいときはなるべく短い期間で飲むことをおすすめします。
実際にやるとコーヒー豆のエイジングは大変です。あまり温度変化がなく、30度以下で湿度が高くなく、かつ直射日光がダメなんていうわがままな状態なわけです。
でもちょっとずつ変化していくコーヒーを味わえるのはそれ以上の楽しみがあり、仕事帰りや休みの日にちょっとした楽しい時間が増えるのです。エイジングする理由にも書いたように自分の目的に合ったエイジングで試してみるとモチベーションにつながるので興味のある方はぜひお試しください。
さらに産地や焙煎度合いの違いでも新しい変化を楽しむことができますので、別記事に書いています 焙煎度合いの種類も合わせて参考にしてみていください。
ではでは(^O^)/